今日の本紹介:図南の翼

はじめまして!スタッフNです。
主に事務所で書類や伝票の作成をしていることが多いですが、ショップに立つこともたまにあります。
いわゆるオタクなので、小説・漫画・ゲームなどの話題が多くなるかと思います。

今日は私の大好きな小説を紹介しますね。
今年本当に久しぶりに新作が発表されることが決定したのでそれで見た方もいるかもしれませんが、
「図南の翼 十二国記」 小野不由美/著
リンク https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/series/7.html です。

シリーズで出ていますが、1冊で話が完結するのでここから読むこともできます。

物語の世界は、国を総べる王は麒麟と呼ばれる神獣が選ぶというファンタジー世界です。
王が何らかの理由で失脚すると、麒麟が新しい王を選びます。
しかし、王が不在である期間が長ければ長いほど妖魔と呼ばれる外敵が増え、命の危険にさらされる国民が増えることになります。
その国で生まれた人ならすべての人が王の資格を持つのですが、そのためには過酷な砂漠を渡って麒麟に会いに行く必要があり、道中で命を落とす者も多いことから、自分が絶対に王だと確信のある人物でないとなかなか麒麟に会いに行こうとはしません。

裕福な商人の元に生まれたお嬢様の主人公「珠晶(しゅしょう)」は周りの力ある大人がなかなか行こうとしないのに腹を立て、12歳の少女ですが1人で旅に出ます。
旅の出だしから荷物と乗る馬を盗まれるという一大事が起きながらも、持ち前の頭の回転の良さと度胸で何とか旅の道連れを得て、生死をかけて麒麟に会いに行きます。
ファンタジーなので麒麟、昇山、黄海、騎獣など独特の用語があるのですが、小説内でわかりやすく説明があり、わからなくなったら冒頭の地図を見返すこともできます。
道中で出会った「頑丘(がんきゅう)」は猟師のような仕事をしていることから、育ちの違い、考え方の違いにより、ことある事にお嬢様育ちの珠晶と衝突します。
私が図南の翼で好きなところは、珠晶が王を目指した理由が終盤になって明かされるシーンです!
詳しいところはネタバレになってしまうので言えないのですが、背中を勢いよく押されたような気持になります。物事はひとまず始めないと!と活を入れられた気持ちになります。

余談ですが、食うに困らないお嬢様の珠晶が、成長期でも腹を満たせない下女に感じるどうしようもない鬱憤をぶちまけるシーンも好きです。
飽食の時代の日本に生きる私がアフリカの飢餓のポスターを見る時に感じるあの罪悪感が見事に代弁されていると思います。

この本を手に取ったのは中学生のときですが、学生~大人になってからも自分の生き方や周囲との齟齬にもやもやが溜まったときにふと手に取る1冊となっています。
今年は十二国記シリーズの新刊も出て本屋さんにも既刊がたくさん並ぶこととなりかと思いますので、ぜひシリーズの途中からでも手に取ってみてはいかがでしょうか。